地方の建設職人不足を解決するには?経営者が本気で考えてみた-Vol.2

建設業界に新風を吹き込む時が来たかもしれません。求職者や経営者の皆さん、新しい顔ぶれとの絆を築き、労働環境を改善しようという業界の最前線をご紹介します。

この記事では、前回のVol.1につづき、建設現場での新しいコミュニケーションの形や教育方針の進化を探ります。

前回に引き続き建設会社を経営されている2名の代表取締役社長にご協力いただき、採用にフォーカスした現場の声をお聞きしました。

若い世代との接点を大切にし、より良い職場環境への道を模索する、今日の建設業界のリーダーたちの取り組みをご覧ください。

未来を築く!建設現場の新しい顔ぶれとの絆

スタッフ
若い社員の世代と接する時は、同世代より気を遣いますか?
市川さん
やっぱり気を使いますよね。社長という立場なので、普段の業務で直接関わる場面は少ないのですが、その分1回のやり取りを大事にしています。話すときはできるだけフレンドリーに…
大平さん
ハラスメントとか気を遣いますね。僕も社員には直接連絡しない。部下が連絡しているんですが、必要以上の連絡はしない。会った時は出来る限りざっくばらんに話をして、気持ちを上げることを大切にしています。
市川さん
それと高圧的にはならないようにしているかな。部下にもそう伝えてあります。自分の子を育てるような感覚で付き合ってほしいと。
スタッフ
10年以上前と新人の教育方針は変わりましたか?
大平さん
大きく変わりました。昔は普通に叩かれてましたからね。今は絶対してはいけない。
市川さん
僕らの学生時代の部活と一緒ですよ。信じられないけれど、昔は殴って強くなる考えがありました。
スタッフ
業務には危険な作業もあって命を落とす事故になる可能性があります。そのくらいの緊張感を持つように誠実に伝えることが大事ですよね。
現在建設現場は、社員教育の徹底と積極的なコミュニケーションを通じて、パワハラのような問題を減らす取り組みが強化されており、まさに業界が変わろうとしています。このような努力の結果、建設現場の古いイメージは徐々に改善されつつあり、より良い労働環境へと変化しているのです。

研修の充実と人間関係のジレンマ

スタッフ
現場研修はどのくらい行っているのですか?
市川さん
3ヶ月〜半年が多いです。できるだけ多くの現場を見てもらうことが成長に欠かせません。
スタッフ
最大半年となると、他業種よりも手厚くフォローされている印象がありますが、それでも辞めてしまう要因は何でしょうか?
大平さん
ほとんどが「人間関係」だと思います。現場の上司から部下への接し方ですかね。
市川さん
以前若い方が1年経たないうちに辞めてしまった。私は面接で会ったりしましたが、普段の業務では接点は少ない。現場の社員は、歩み寄ることに必死ですが、油断すると気遣わず同僚のように接してしまう。そうなってしまうと難しいですよね。
スタッフ
心がける方、そうでない方の熱量の差が問題かもしれませんね。
市川さん
役職者だけが徹底しても意味がなくて、社風全体をそういう風にしていかないと。実際付き合うのはもっと現場にいる部下達なので、意識を持ってくれないと、若い方達は長くは続けてくれないと思います。
スタッフ
すると高圧的な接し方が問題なのですか?
大平さん
それだけではないでしょうけど、こんなはずじゃなかったという理想とのギャップが大きいのだと思います。
スタッフ
現場の職人さんがすごく優しい声で教育や指示を出すのは難しいのですか?
市川さん
努力はしていますが、劇的な改善が難しいというのが現状です。良い方向に変化している時期なので、ある程度、根性があってやれる精神が無いとまだまだ理解できない瞬間が多いかもしれません。
スタッフ
上司も若い新人も両方歩み寄らないと難しいですよね。
新入社員への充実した研修期間があるにも関わらず、人間関係の問題で辞めるケースが多いようです。特に、上司と部下のコミュニケーションや、職場の雰囲気が新人の定着に大きな影響を及ぼしています。一部の上層部が改善に努めていても、社風全体が変わらなければ、特に若手社員は長く続けることが難しいとされています。現場指導の方法にも改善の余地があり、若手社員が受け入れやすいアプローチがより求められていますが、互いを理解して歩み寄ることが最善の道であることは間違いないでしょう。

救世主現る?人材確保の挑戦と地方の変化

スタッフ
建設業界で最も大きな課題は何ですか?
市川さん
人手不足が最大の問題です。新しい労働力の不足と、地方での仕事と人口の減少が大きな要因です。
スタッフ
以前はゼネコンが就職活動で人気でしたが、現状はどうですか?
大平さん
状況は変わっています。地方のゼネコンでは、新入社員の半分近くが辞めてしまっていると聞いたことがあります。

建設業界は人手不足に直面しており、特に地方では仕事の減少が深刻です。首都圏以上に新しい人材の獲得と定着が大きな課題となっています。

市川さん
当社では建設業協会の青年部を通じて、地元の高校生に建設業の魅力を伝える活動をしています。例えば出前講座や現場見学を行って若者に建設業に興味を持ってもらうよう努めています。
スタッフ
その活動の効果はいかがですか?
市川さん
何もしないよりは良いでしょう。何より若者が建設業に興味を持つきっかけを作ることが重要です。

建設業界では、若者への啓蒙活動が行われています。将来の人材確保のための重要な取り組みです。

大平さん
そこで担い手不足を解消するために、海外からの技能実習生の協力も必要になっています。
市川さん
以前ベトナム人の技能実習生を受け入れたのですが、なかなか続かないのが実情です…
スタッフ
海外からの技能実習生は日本での仕事に満足していないということですか?
大平さん
日本の給料は他国と比較して安価なケースがあるため、魅力に感じない方もいるかもしれませんね。

海外からの技能実習生の活用も、建設業界の人手不足解消のための一つの手段です。しかし、給料面や労働条件の課題が定着に影響を及ぼしています。

市川さん
技術の伝承も重要ですが、特に海外からの技能実習生には日本語の壁があります。
大平さん
はじめから日本語が流暢な海外からの技能実習生は少なく、言葉の壁が仕事の効率や安全性に影響を与えることがありますよね。

海外からの技能実習生への技術指導や言語の壁も、建設業界が直面している問題の一つです。これらの課題に対処するための具体的な対策が求められています。

工業高校のつながり意味なし!?地方の採用課題と対策

スタッフ
地方ならではの採用課題についてどうお考えですか?
市川さん
地方では人口の減少が進み、応募者の母数が小さいという課題があります。
スタッフ
工業高校などとの繋がりがあると思いますが、地方の方が強いのではないでしょうか?
大平さん
確かにその繋がりはありますが、多くの学校は特定の企業とのみ提携しており、他の企業にはチャンスが訪れにくいようです。
市川さん
毎年一貫して新卒を採用する企業は、学校から好まれます。安定的に採用している会社に、学生は行きやすい傾向にあります。
スタッフ
決まらない学生もいると思いますが、どう対応していますか?
大平さん
残念ながらそれでも多くの学生が参加せず企業が介入しにくいことが現状です。

地方の建設業界では、人材獲得のための教育機関との連携や、定期的な採用が重要です。しかし、特定の企業との独占的な関係や学生の参加不足が課題となっています。

市川さん
初任給を上げるなど施策を試みましたが、それでも応募は増えませんでした。仕事選びで重視しているのは、そこではないと感じました。
スタッフ
休日の増加についてはどうですか?
市川さん
実は休日は増えてきています。土曜日が仕事できない場合もあり、公共系の仕事では特にその傾向が強いです。
スタッフ
週休二日制の導入はどうですか?
市川さん
実施していますが、建設業界への応募はそれでも減少しています。

実は建設業は他業種と比べると高待遇なのでは…?それでも建設業界では、給与の上昇や休日の増加などの条件改善にもかかわらず、新卒者の応募減少が問題となっています。

建設業界における通勤時間の長さは、特に若い労働者の採用において障壁となっています。企業は、マイナスの印象を避けるために、求人広告では通勤時間を明示しないことが多いです。 このように建設業界のイメージと労働条件は、新たな人材を獲得する上での大きな障壁となっています。

前代未聞「親子で採用」で課題解決!?

スタッフ
例えば、他業界のベンチャー企業が行っているユニークな採用施策で、「友人と一緒に採用」というのを見たことがありますが、建設業界でもいかがですか?
市川さん
いいですね!友人とか親子とか?
スタッフ
親子採用面白いです!家族全員の理解と支持を得ることができそうですね。今後Z世代の面接は親御さんも歓迎して同時採用なんてどうですか?
市川さん
ありですね!
大平さん
私もありです!
市川さん
というのも、以前20代社員を採用した時にお父様も面接にいらっしゃったことがありました。改めて考えると良い施策ですね。
スタッフ
一つの新しい施策として期待できそうですね!
市川さん
片方だけが採用される場合の問題もありますが…それでも特に若年層の労働者の確保と定着が期待できるならありがたいです。
スタッフ
親子採用は雇用の定着率を生むかもしれませんね。
大平さん
確かに!親子どちらかが問題を起こすリスクもあります。しかし従来の方法ではとても難しかった新しい人材の確保が可能になるかもしれませんね。
建設業界における親子採用は、従業員の定着率を高める一方で、新たな課題をもたらす可能性があります。業界は、労働者の確保と定着のために、従来の枠を超えた革新的な方法を模索しています。

未来を築く手は止まらない

建設業界は、新しい世代の社員育成と定着のために、伝統的な枠組みを超えた取り組みを展開しています。経営者と若手社員との間のコミュニケーション改善や、研修期間中の接し方の見直しに加え、海外からの技能実習生の活用や地方での施策強化など、多角的なアプローチが試みられています。これらの努力は、建設業界の古いイメージを変え、新しい労働力を引き寄せるための鍵となっています。次章では、建設業の魅力と若い方たちに求めることを追求していきます。


市川建設株式会社
代表取締役 市川雅樹
https://ichikawa-kensetsu.com
長年培った土木技術で、お客様のご要望にお応えします。創業時より、土木工事で地域発展のサポーターとして精進してまいりました。どんな小さな仕事でも出来る限り対応させて頂くというモットーで、様々な仕事のご依頼をいただけるようになりました。人材や機械といった機動力を強化し、行政や建設会社様からのご要望にお応え出来る体制を整えております。現在では、土木部門を主体として、下水道清掃、調査やメンテナンスといった特殊な部門で事業を展開しております。今後も施工技術を高め、様々なご要望に応えられる体制作りを目指します。(企業サイトより)
株式会社大平
代表取締役 大平丈志
https://ohira-ibaraki.com/
昭和28年3月、鉄筋工事請負業 大平鉄筋工業所としてスタートし、創業当時から安心・安全を築くという事に邁進し、お客さまからの声に耳を傾け、より安心、安全な生活をご提供し続ける事で現在の「株式会社 大平」へと成長する事ができました。
お客様の「想いをかたちに」すること、「最良の作品を世に遺し、社会に貢献する」ことを使命とし、 『人々に貢献できる企業であり続ける』を理念に、今後も成長し進化し続ける企業経営を行えると確信しております。(企業サイトより)
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