地方の建設職人不足を解決するには?経営者が本気で考えてみた-Vol.1

建設業界は常に変化し、新たな挑戦に直面しています。業界の現状と将来について、地方で建設会社を経営する大平さんと市川さんに、建設求人サイト「ブルカラ」が職人の採用課題についてインタビューを行いました。今回は第一弾「職人不足解決の鍵はZ世代の若者を知ること!?」をお届けします。

良き人材が滅多に見つからないという現実

今回のインタビューでは、建設会社を経営されている2名の代表取締役社長にご協力いただき、採用にフォーカスした現場の声をお聞きしました。

スタッフ
こんにちは、本日はよろしくお願いいたします。
市川さん
市川です。新潟県で土木工事業を営んでいます。よろしくお願いします!
大平さん
大平です。茨城県で鉄筋工事業を営んでいます。よろしくお願いします!
スタッフ
それぞれ建設会社を経営されていますが、最近のお悩みはなんですか?
大平さん
良い人材がなかなか見つからないことかなぁ。
市川さん
全く同じ悩みです。そもそも若い人がいない気がする。

力仕事が何かと多い職人のイメージがあるのでしょうか。募集するにあたって、できるだけ若い方の採用ができることに越したことはありません。

しかしながら現実は厳しく、理想の若い職人の採用はなかなか難しいようです。


大平さん
実際のところ他の業界と比べてどうなんでしょうか?
建設業は人気がないのかな?
スタッフ
理由の1つに業界の悪い情報だけが独り立ちして広まっているように感じます。特にZ世代のような若者は、そういった情報収集には非常に敏感なのです。 先入観により、3K労働「きつい、汚い、危険」と、いまだに思われていることが多いですよね。そう思われている状態では建設業が避けられても仕方ありません。
市川さん
もし若い方が入ってくれても、ガッツがなくてすぐに辞めてしまう印象があるかも。
スタッフ
その場合、入社前後でギャップがあったり、現場の常識と若い職人さんとの常識がマッチしていない可能性があるかもしれません!

同じような経験をされた経営者、担当者は多いはず。

心当たりがある方もいるのではないでしょうか。見直すことが重要な鍵かもしれません!

これが今の若者!Z世代とは?

若いから仕方ない…と距離をおいたり、諦めたりせず、歩み寄ることも今後必要なプロセスということがわかりました。続いて、今の若い世代の常識や価値観について深掘りします。

 

スタッフ
突然ですが、Z世代はご存知ですか?
大平さん
はい、最近の若い方々の世代ですよね!ちなみにZ世代の「Z」はなんですか?

 

市川さん
もしかして、ドラゴンボールZからきてたりして?(笑)

 

スタッフ
その調子だとZ世代の目がテンになります!(笑)
各世代は次の通り定められています。こちらの資料をご覧ください。
資料:Z世代の範囲
これを機にあなたもZ世代について知り、先入観を払拭して情報をアップデートしてみませんか?
スタッフ
一般的なZ世代の特徴を7つ挙げてみました!
資料:Z世代の特徴

特徴1「デジタルネイティブ

スタッフ
リアルタイムでのコミュニケーションを好んで、メッセージアプリやビデオ通話を積極的に利用します。つまり即時性と対話的なコミュニケーションを重視する傾向があります。
市川さん
時代も変わって、多くの方が幼少期からタブレットやスマートフォンを触れる経験ができるようになりましたもんね!

 

大平さん
普段の何気ない連絡もLINEですよね。仕事を休む時も同じようにLINEで連絡がきます!どうしても無理な時はしょうがないけど、休む時くらいはがんばって電話で相談して!と思う時もありますね。

特徴2「多様性への受容性

スタッフ
多文化主義やジェンダーの流動性など、社会的多様性に対する理解と受容性が高い傾向があります。平等や包摂に対する意識も強いようです。
市川さん
最近とても増えてきた印象を受けます。良い傾向なのでは?

 

大平さん
今の方が一昔より多様性に対する理解が深まっていると思います!

特徴3「教育とキャリア

スタッフ
教育に対する意識が高く、より専門的なスキルや知識を身に付けようとする姿勢が見られます。キャリアに関しては、安定よりも意義ある仕事を求める傾向が強いようです。
大平さん
※CCUS(建設キャリアアップシステム)がピッタリかも。
CCUS:技能者ひとり一人の就業実績や資格を登録し、技能の公正な評価、工事の品質向上、現場作業の効率化などにつなげるシステム。一人ひとりの技能者の評価が適切に行われ、処遇の改善に結びつけること、さらに人材育成に努め優秀な技能者をかかえる専門工事業者の施工能力を見える化することで、建設業界が健全に維持されることを目指しています。

 

大平さん
とはいえ、建設業の現場レベルではなかなか導入も難しいですよね。

 

市川さん
かなり厳しいですよね。

 

大平さん
そういった中でとりあえず一人親方でやってみろと言われても大変です。ただこの感覚を現場から変えていかないといけないということですよね…!
CCUSなど建設現場でも誰もが平等に評価がされやすい仕組み・体制が整いつつ、成長が目に見えやすい傾向へ。一方で、建設の下請け業者の社会的な問題の解決のため法規制が厳しくなり非正規雇用が難しいなど、若手の人材不足、現場の人材の高齢化が深刻な問題も無視できない。厳しいながらも現場から感覚を変えていきたいと語る大平氏。

特徴4「メンタルヘルスへの意識

スタッフ
メンタルヘルスの問題に対する認識が高く、自身や他者の精神的な健康に気を配る傾向があります。
市川さん
なるほど!つまり自分だけでなく、仲間にも思いやりのある優しい方ってことか!

 

大平さん
良い事かもしれない。同僚が大変だったら手伝ってくれる感じ?今の若い世代って優しい子が多いですよね。
気配りができるからその視点をうまく活用できる仕事をお願いしたいですよね。

 

市川さん
メンタルヘルスの観点から定時で帰れる会社も増えてますよね。定時で帰るのは良いことですね。絶対にその方が良い!

特徴5「メディアの消費パターン

スタッフ
Z世代は伝統的なテレビよりもYouTubeやNetflixのようなストリーミングサービス、そしてTikTokやInstagramのようなSNSプラットフォームを通じてメディアを消費する傾向があります!特に短い動画やインタラクティブなコンテンツを好むことが多いです。
市川さん
私たちの世代も同じかもしれない。特にショート動画ってついつい見ちゃいますよね。
大平さん
わかります!あっという間に時間が過ぎます。
スタッフ
Z世代の情報の鮮度は目を見張ります。今更「キュンです」とがんばって言っても、ブームが去ったものを急に流行と勘違いして使用していると冷たい視線が送られます。こまめに今、何が流行っているのかを聞くことで関係性が築けます!

特徴6「リアルタイムコミュニケーションの好み」

スタッフ
メールなど時差のあるやりとりより、リアルタイムでのコミュニケーションを好み、メッセージアプリやビデオ通話を積極的に利用する。即時性と対話的なコミュニケーションを重視する傾向があります。
大平さん
たしかに、会社全体に対しての簡単な業務連絡や、スピード重視の緊急の連絡はLINEを使うことが多いです。
市川さん
一昔前だと考えられなかったですね。

特徴7「教育とエンターテインメントの融合」

スタッフ
学びと娯楽の境界線が曖昧になり、ゲーム、動画、インタラクティブなアプリを通じて学ぶことを好む傾向があります。教育現場ではICT教育が既に当たり前のように行われています。
市川さん
特に学校はコロナ禍で一気にタブレット端末の普及が進みましたよね。
大平さん
わかりやすく、楽しく学べる環境があるって素晴らしいですよね。

上京したら戻らず!?若い人は減るばかり

ここまで主なZ世代の特徴をおさえた上で、現状の採用課題について深堀りしていきます。

スタッフ
今、会社で若い社員はどのくらい、いらっしゃいますか?

 

市川さん
当社は一番若い方で10代かな。あと20代前半、20代後半の方も在籍しています。

 

大平さん
当社は20代2人、30代前半1人、あとは30代後半の方ですね。
スタッフ
若い社員もご活躍されているのですね。エリアによって高齢化の進み具合は違うのでしょうか?
市川さん
どこも一緒ですね、そもそも若い方が入らなくてどんどん高齢化になっていく。
スタッフ
市川さんは新潟県、大平さんは茨城県ですが、地方出身の方は上京するケースが多くありませんか?
大平さん
実は最近上京する方が少ないんです。
スタッフ
そうなんですか!?
市川さん
「親と子が友達みたいになっていて、親が離さない」と教育現場の方から聞きました。進学で上京すると帰ってこない。ただ、高校卒業で就職する場合は、地元に就職する方が多いんじゃないかな。
スタッフ
高校を出てから新潟近辺に残る方と上京する方はどのくらいの割合ですか?

 

市川さん
聞いた話ですが、新潟の高校生の場合、約40人1クラスで半分が就職、もう半分が進学されるみたいなんですよ。そのうちの就職組で新潟から出るのが2割程度じゃないでしょうか。
スタッフ
そうなんですね!

 

市川さん
ただあくまで全体の話であって、建設業に限った話ではありません。残っている方も多いですが、親が寂しくて子を離さない。地元愛というか親子愛というか、その視野が狭い印象を受けます。
スタッフ
東京に行こう!とか強い憧れを持ちそうですが、上京しないという選択も前向きに検討されているのですね。
大平さん
大学で首都圏に行った方は地元に帰ってこないですよね。都心を知っちゃうと便利ですからね…!
地方部では都市圏に比べ人口減少が著しく、地域のインフラの整備・保守や災害に対応する建設業者のニーズは高まる中、持続的な存続に不可欠である人材の確保・定着の状況はより深刻である。ただでさえ若手の人口が少ない中、大学進学などをきっかけに上京した場合、就職時に戻ってこないことも人手不足の要因だと語る市川氏。

まずは知ってから課題解決へ

どうやらZ世代の特徴を深く知るだけでは、若者の採用課題が解決できるほど一筋縄ではいかず、まだまだ課題がありそうな予感です。

果たして建設業に再び若き人材の光が差す日はくるのでしょうか。

インタビューはVol.2へ続く

 


市川建設株式会社
代表取締役 市川雅樹
https://ichikawa-kensetsu.com
長年培った土木技術で、お客様のご要望にお応えします。創業時より、土木工事で地域発展のサポーターとして精進してまいりました。どんな小さな仕事でも出来る限り対応させて頂くというモットーで、様々な仕事のご依頼をいただけるようになりました。人材や機械といった機動力を強化し、行政や建設会社様からのご要望にお応え出来る体制を整えております。現在では、土木部門を主体として、下水道清掃、調査やメンテナンスといった特殊な部門で事業を展開しております。今後も施工技術を高め、様々なご要望に応えられる体制作りを目指します。(企業サイトより)
株式会社大平
代表取締役 大平丈志
https://ohira-ibaraki.com/
昭和28年3月、鉄筋工事請負業 大平鉄筋工業所としてスタートし、創業当時から安心・安全を築くという事に邁進し、お客さまからの声に耳を傾け、より安心、安全な生活をご提供し続ける事で現在の「株式会社 大平」へと成長する事ができました。
お客様の「想いをかたちに」すること、「最良の作品を世に遺し、社会に貢献する」ことを使命とし、 『人々に貢献できる企業であり続ける』を理念に、今後も成長し進化し続ける企業経営を行えると確信しております。(企業サイトより)
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