「いつか独立したい」
高い収入、自由な働き方、会社を設立して大きく…そんな夢が現実にできるのが建設業の魅力のひとつです。
しかし、いざ独立するには経営知識、労務管理、税務管理など様々な知識が必要になってきます。
ひとつひとつ正しい知識を身につけて、夢に近づいていきましょう。
今回のテーマは、一人親方の労災保険特別加入についてです。
労災保険特別加入って聞いただけで難しそう…
一人親方になる時は入らないといけないの?
入るとしたら、いつ、どうやって入るの?
建設業で一人親方を目指すあなたに、労災保険の知りたい部分だけをピンポイントで解説します!
一人親方とは?
会社に雇用されずに、自分一人で仕事を請け負っている職人です。
一人親方の定義
建設業において、2つの条件を満たす人が一人親方に当てはまります。
会社や事業所など、どこからも雇われずに自らで事業を行っている
従業員を雇っていない
一人親方と個人事業主の違い
個人事業主と一人親方は少し違うので、比較してみましょう。
【個人事業主】
法人化せずに事業を営む人
自由に従業員を雇える
登録可能業種が幅広い
【一人親方】
- 法人化せずに一人で事業を営む人
- 従業員を雇うと、個人事業主へ移行する
- 建設業や運送業など限られた業種
以上のように、個人事業主というくくりの中に、一人親方が存在します。
一人親方は、従業員を雇うと、個人事業主に移行しなければなりません。
主に建設業や運送業など限られた業種で、条件が揃った場合のみ、一人親方に当てはまります。
労災保険特別加入
労災保険の適用対象は労働者です。
そのため、一人親方を含む個人事業主は、労災保険の対象外となります。
しかし、従業員を雇わずに自ら現場で働くのが一人親方です。
業務中や通勤中のケガに対する補償がないのでは、日頃のリスクが高まります。
そこで、一人親方の労災保険特別加入という制度があるのです。
特別加入とは?
業務中や通勤中の事故、ケガの補償を受けるために、一人親方や個人事業主が加入できる特別な保険制度です。
加入のメリット
特別加入することで、通常は労災保険の補償を受けられない一人親方が、労働者と同じ内容の補償を受けられます。
加入対象者
労災保険特別加入の対象者は、以下の一人親方や個人事業主です。
- 建設業
- 運送業
- 漁業者
- 林業従事者
- その他の特定業種
労災保険特別加入の重要性
一人親方にとって、労災保険特別加入は、自分を守ることにつながります。
災害発生時の補償
特別加入していれば、一人親方でも、業務中の事故やケガを労災で補償してもらうことができます。
災害発生時の補償は以下通りです。
- 療養補償給付
治療にかかる費用を労災保険が負担
- 休業補償給付
ケガで仕事を休んだ場合、給付基礎日額のおよそ60~80%を労災保険から支給
- 障害補償給付
障害が残った場合に、等級に応じた補償を労災保険から支給
- 遺族補償給付
業務中に死亡した場合、遺族に対して労災保険から給付
- 特別支給金
一時的に特別支給金が支給される場合がある
なお、これらの支払い要件は、自らが下請け事業者である場合に限られます。
発注者からの直請け、つまり自らが元請けとなる場合は支給対象外です。
現場に提出する必要書類のひとつ
多くの建設現場では新規入場者に対して、作業員名簿、資格証などの安全書類の提出が求められます。
その中で、労災保険の特別加入者証の提出は、一人親方にとっての義務です。
もしも特別加入していない場合、一人親方は、作業員として現場での作業が認められません。
いざという時の補償だけでなく、円滑に仕事を受注するためにも、特別加入は欠かせないのです。
一人親方が労災保険に加入するタイミングと方法
ここでは、一人親方が実際に労災保険に特別加入する手順を解説していきます。
労災特別加入のタイミングはいつ?
- 一人親方として事業を開始する準備段階
- 一人親方として事業開始直後
- すでに一人親方として事業をしている場合、なるべく早く
なるべく早い段階で加入手続きを進めるのがベスト。
経験豊富な職人でも、事業を始めたばかりのタイミングや新規入場現場での作業中は、事故やケガのリスクが高いとされているからです。
また、過去にさかのぼっての加入はできないので、事故やケガが起こってからでは間に合いません。
加入手続きの流れ
加入手続きの流れは以下の通りです。
- 加入団体を選定
- 申し込み、書類の提出
- 保険料の支払い
- 加入の承認
加入者証の発行
必要書類
- 本人確認書類
運転免許証やマイナンバーカード、在留カードなどの本人確認書類があれば手続きできます。
その他、加入団体に指示された書類があれば記載しましょう。
一人親方が労災保険の特別加入を検討する際のポイント
ズバリ「どの加入団体を選ぶか」がポイントです。
加入団体によって、どんな違いがあるのか見ていきましょう。
加入条件の違い
加入条件はそれぞれの加入団体によって、違いがあります。
サポート対象地域や証明書の発行形式、ネット申し込み可否など対応の幅を確認して、条件が自分にあったところを選べば大丈夫です。
費用と支払い方法の違い
加入団体によって、費用や支払い方法に違いがあります。
入会費や組合費、分割払いの有無や、キャッシュレス対応など差があるので、比較する価値がありますよ。
ネットで検索して比較
ネットで「一人親方 労災」と検索すると、下記のような加入団体の公式サイトが出てくるはずです。
公式サイトには条件や費用が記載されているので、どこが自分にあっているか比較してみましょう。
参考:全国対応、ネットで最短即日加入できる一人親方の労災保険特別加入『親方プラス』
まとめ
一人親方の労災保険特別加入は、なるべく早い段階での手続きをオススメします。
加入していない期間には、業務中のケガや事故に対する補償を受けることができません。
特別加入は一人親方が加入できる特別な保険制度で、一人親方が、労働者と同じように補償を受けられます。
加入団体によって加入条件や費用、支払い方法に違いがあるため、ネットで比較して自分にあったところを選べば大丈夫です。
一人親方にとって、労災保険特別加入は、自分を守ることにつながります。